資料の作成時に色関連で気をつけるべきこと
論文執筆や発表スライド等で図を作る機会が増えてきました. 注目すべき部分を強調したり系列を示したりするための手段として色を適切に使うと良いとされています. しかし,表示する環境によって色味は変化しますし,論文は白黒に印刷される場合もあります. さらに,特定の色の見分けがつきにくい色弱者も存在します. このような要因で生じる様々な見え方に影響されず,内容を伝えるために適切に色を選択することが求められています. 色弱者でも色を区別できるようにすることを目指し,バリアフリーに配慮したカラーユニバーサルデザインの配色セットが公開されています. これを基にグレースケール印刷しても区別ができることも加味してオレンジ,黄色,青を中心に使うと良いと考えて自分用にカラーパレットをまとめました. このページは必要な時に見返すためのメモです.
色の選択
カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット[1, 2]が公開されており,これを参考にするのが良いと考えました. 白黒印刷を想定して,明度がばらつくように色をピックアップしました. 図1に私が PowerPoint のテンプレートに設定しているカラーユニバーサルデザイン推奨配色セットからとった色の一覧を示します. 2 列目は PowerPoint の機能でグレースケールにした場合の色で,似通った色を避けるための参考として使用しています. 青と茶色の組と,黄色と明るい空色の組がよく似通った色になっており,これらの組み合わせを用いると白黒印刷したときに違いがわかりにくくなります. オレンジ,黄色,青を優先して用い,多数の色が必要な場合にのみ隣接する色に気を付けながら他の色を追加するようにします.
なお,赤と黒が同じように見える人がいるらしく,強調するために色を使いたい場合は,赤を避け,オレンジを使うのが良さそうです[3-6]. 色に頼らず,形状による工夫を行うのも効果的でしょう(下記).
プログラム等へ値をコピーペーストしやすいように表を追加しました.
色 | r | g | b | hex | |
---|---|---|---|---|---|
█████ | オレンジ | 246 | 170 | 0 | #F6AA00 |
█████ | 黄色 | 255 | 241 | 0 | #FFF100 |
█████ | 青 | 0 | 90 | 255 | #005AFF |
█████ | 茶色 | 128 | 64 | 0 | #804000 |
█████ | 明るい緑 | 119 | 217 | 169 | #77D9A9 |
█████ | 明るい空色 | 191 | 228 | 255 | #BFE4FF |
█████ | 白 | 255 | 255 | 255 | #FFFFFF |
█████ | 明るいグレー | 200 | 200 | 203 | #C8C8CB |
█████ | グレー | 132 | 145 | 158 | #84919E |
█████ | 黒 | 0 | 0 | 0 | #000000 |
文字における形状の工夫
文字で強調を表現するときに使える方法は太さ,大きさ,フォントの変更,下線,囲み枠,網掛け等があります.
- この行は強調したい部分を太字にしました.
- この行は強調したい部分を大きくしました.
- この行は強調したい部分をゴシック体にしました.
- この行は強調したい部分に下線を引きました.
- この行は強調したい部分に囲み枠を付けました.
- この行は強調したい部分に網掛けをしました.
強調した部分と 強調した部分と 強調した部分が 混在しているとどこが重要なのか伝わらないので,
多くの方法を同時に適用しても仕方ないので,太字や下線に統一しておけば良いでしょう.
グラフにおける形状の工夫
グラフでは点の形状,線の種類の変更を行います. 面積のあるグラフではハッチングも有効です. 外部に凡例をつけるよりも,引き出し線を用いたり領域内に書き込んだりするほうが誤読が起きにくくて良いでしょう.
まとめ
資料の作成用にカラーパレットを用意しました. 色は主にオレンジ,黄色,青を中心に用いると色弱者でも区別が容易で,白黒印刷した際でも判別しやすくなります. 形状の工夫も取り入れるべきで,文字,グラフ,イラストの作成時に使える具体的な手法を列挙しました. より多くの人に正しく情報を伝えられる資料のために活用していきます.
参考
- カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット制作委員会, 『カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック』第2版. 2018. https://jfly.uni-koeln.de/colorset/
- DIC グラフィックス株式会社, カラーユニバーサルデザインとは? https://www.dic-graphics.co.jp/navi/color/ud.html
- 東京都福祉保健局, 東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン. https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/kanren/color.html
- 福島県, カラーユニバーサルデザイン(CUD)ガイド. https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005c/ud-cudguide06.html
- 港区保健福祉支援部障害者福祉課障害者福祉係, 港区カラーバリアフリー・ガイドライン. https://www.city.minato.tokyo.jp/shougaisesaku/kenko/fukushi/shisaku/c-barrierfree.html
- 伊万里市, カラーバリアフリーについて. https://www.city.imari.saga.jp/15837.htm